探索者のみなさんこんばんは!
深淵を覗くときなのだ。ゴーストライターのazarashiXです。今回も遊んだゲームのごく個人的な感想を雑多に書いていきます。
はじめに
「ABYSS SEEKER 深淵ノ果テニ何ヲ視ルカ」は、深淵を目指す謎の女の子ががんばる2Dアリーナシューターです。ゲームシステムとしては、サバイバーライク系の作品です。レベルアップ時の一時強化で、ショットの挙動をカスタムできるところが特徴だと思います。
さて、皆様ちゃんとゲームやってますか。僕はというと何かと忙しくてあまりできていません。世の中のあらゆる仕組みは便利になっていっているはずなのに何故なんだ。ところで、こうやって「オレは多忙なんだ」とか言い訳がましいことを誰に宛てるでもなく書いてしまう状況というのは、実際にやることがたくさんあるというよりは、精神的に参っている場合のほうが多そうですね。現在の自分の体力的リソースと、これからやらなければならないであろうタスクの量で、自分の未来を計算して絶望しています。まあでもまだ身体は動いているし、思考は現実化していない。陰キャ(この間覚えた言葉)というのは、こういうところが損だよね。それでまあ、疲れ果ててぼんやりしているときというのは、大体くだらない思考実験が始まるのだけど、もし、これから自分の身に起こる出来事がすべて計算されて一覧化されてしまうような世界になったら「オレの人生詰みゲーじゃん」と、僕は思うのだろうか。今がつらいせいで、マイナスの部分にしか目を向けられず、プラスの部分を無視しているだけなんじゃないか。これを思考の偏りと呼びます。とはいえ、それも結局はせいぜい個体としての性質の話でしかなくて、僕が頭の中で定められた未来のことをいくら考えようが、これからの行動の結果にはなんら影響しないのかもしれない。思考から行動が変わることはなく、そこにはあたかもはじめから存在していたかのように、言い訳めいたやらなかった理由が後付けで生成されていく。そうやってネガポジの波を感じながらひたすら流されていって、徐々に脳のクロック数が落ちていき、リフレッシュレートがゼロになったときに人は現実世界から断ち切られるのだ。人生とはそういうものなのだ。ああ、悟りが閉じていくねえ〜。
……ええと、あれ、何の話だっけ、ああ、そうそう、だから、僕は、もはや現実社会は構造的に不安定で人類全員が幸せになることはできないので、もっとゲームでもスポーツでも芸術でも睡眠でも何でもいいのだけど、意識を現実から離れた場所に置く割合を増やすことで世界はより平和になると信じている「現実逃避」派なのだ。計算が複雑になればなるほど希望はある。逆になんというか、僕たち有象無象の類の人間の、現実に起こり得る行動の結果だけを予測するのであれば、割と出来ちゃいそうじゃないですか。そういう学問や研究結果もあるし。そしてそれは僕個人の価値観をもって概略するならば、不特定多数の人間が、何か余計なことをして、それでまた不特定多数の人間がその崩れたバランスを修復するためにがんばっているみたいなことの連続になる気がしていて、そんなことをしているうちに一つの人生なんて終わってしまうよね。もしその人生データがアーカイブされるとしたら、圧縮率は何パーセントになるのだろうか。何が言いたいかというと、僕のように歯車のごとく、得体の知れない社会の一員パワーによって旧態依然とした活動を繰り返し、周囲にそれを伝導し続けているだけの人々というのは実はもうそんなに必要なくて、僕らは使命とか発展とか生産性とか小難しいことをいろいろ考えるのはやめて、だらだらゲームでもしていればいいんじゃないかってこと。ゲームでの体験は現実ではないが真実ではある。一生退屈しない分のコンテンツは既にあるよ。たぶんこの道を極めれば、天井の模様を眺めながら遥かなる宇宙に思いを馳せているだけでも異なる世界に意識を置くことができる。君は人間以外の動物が何を考えているか考えたことはあるだろうか。
とかなんとか言っている僕も、思っていることとやっていることは全くと言っていいほど一致していないのだ。この大いなるループからは簡単には抜け出すことができない。たとえ、本来は不要な部品であったとしても、組み込まれて動き続けている以上は役割が発生する。現実は僕なんぞが想像しているよりも遥かに複雑だったのだ。バグとバグが掛け合わさって、正しく動作している部分が多すぎる。そうなってくると、この状況を変えるには、丸ごと一から作り直すぐらいしか思いつかないけれど、自分の役割遂行すら危うい不良品の僕に、そんな気力は残っていないんだよ。現実なんてものはリセットが効かないし、時限要素だらけの無理ゲーなんだ。(はじめに戻る)
というわけで、本作ですが、ゲームのつくりとしては詰めが甘い部分もあるけれど、グラフィックやサウンドなど、側の部分は及第点の出来なので、なんとなく遊べてしまいます。大作で遊ぶことに疲れたときの、箸休め的なライトゲームとしては悪くはないんじゃないかなあ。どうやらスピンオフみたいだし。僕はちょっと手に取ったタイミングがよくなかったですね。

どんなゲーム
やる気が感じられないいつもの継ぎ接ぎ動画だよ。
グラフィックはドット絵がメインです。ジャギーなフォントも、懐かしい雰囲気があったりして、表現方法としては嫌いではないのだけど、サイズが小さすぎて読みづらいです。特に漢字は潰れていて識別が困難なものがあります。もし、わかってやっているのだとしたら、ちょっとたちが悪いなあと思ったけど、オプションの「日本語フォントオプション」から、非ドットへ変更ができました。それはありがたいのだけど、であればピクセルフォントもこのサイズにならないのかなーとも思ってしまう。
BGMやSEはゲームっぽい感じでよかったです。ボタンを押したら何らかの音が鳴るというのは、やっている感を出す基本だよなあということを改めて思いました。
タイトルのオプションメニューから、ボタンアサインの変更ができます。「低速移動モード」は、あまり使わないけれど、ツインスティックで操作しながら他のボタン押しっぱなしは指が辛いので、切り替え式のような挙動に変更ができてもいいかなあと思いました。




探索など
ゲームシーンは、拠点+ステージセレクト制の形式で、最低限といった感じ。流れとしては、ステージ中に入手したコインを使用して、拠点のショップでプレイヤーの永続強化などを行い、次のステージへ進むの繰り返しです。
ステージは全10層で、新しいステージをクリアすることで、次の階層が追加されていきます。また、クリア済みのステージもリプレイ可能です。
各ステージでは、10分間、延々と湧いてくる敵を倒し続け、一時強化とコイン稼ぎを繰り返し、残り時間がゼロになると出現するボスを倒せばステージクリアとなります。
なお、第5層の「奈落エリア」をクリアすると「ペンタスP24」というキャラクターがアンロックされます。性能差は多少あるのかもしれないけれど、プレイ感覚が変わるほどの違いはない気がするので、好きな方を使えばいいのだと思います。




アクションや戦闘など
基本のアクションは、ツインスティックで移動と射撃、ドッジで回避、ストック制のボムと、ゲージ制のアビススキルなど。操作性は「Enter the Gungeon」を思い出す感じです。そもそも、全体的に類似点が多い気もします。
ステージの開始時には、使用する武器の選択があります。武器は「グリモア」と呼ばれ、ベースとなるショットの性能を決定します。ここに加えて、ステージ中で入手する「サイドブック」で弾の挙動を追加変更することができます。さらに、複数のサイドブックを組み合わせることで、いろいろなパターンの弾幕が作れるといった感じです。
ショットの使用には、時間回復する「マナ」というリソースを消費します。マナの消費量は、グリモアの種類や、取得したサイドブックによって増減します。要はエネルギー制で、マナがなくなると弾が撃てなくなります。とはいえ、マナがゼロになってしまっても基本的にはペナルティはなく、連射力が下がるぐらいなものなのだと思います。
「ドッジ」は無敵判定があり、主にボス戦で、弾幕を抜けたりするときに使います。なお、ステージ内の木などのオブジェクトは、プレイキャラクターとの当たり判定があるので、引っかからないように気をつけよう。
「ボム」は弾消しと、周囲の敵をノックバックさせる効果があります。ダメージは入っているのかいないのかよくわからないという程度なので、緊急回避としての使い方が主になると思います。
敵を倒すと溜まっていく「アビスゲージ」が最大になると、広範囲攻撃である「アビススキル」が使用できます。弾消し効果もあり。ただ、ゲージはストックできないので、こっちは攻撃的に使っていくほうが効率は良さそうですね。なるべくたくさんの敵を引き付けて巻き込みを狙おう。
また、敵はボムやハートなどのアイテムをドロップすることがあります。ハートは取得するとHPが回復します。HPが最大の場合は取得できずに弾かれる親切仕様です。
敵はプレイキャラクターの四方八方から次々と出現するので、囲まれないように立ち回ろう。中には弾を撃ってくるやつもいます。弾速は意外と速いのでがんばって避けよう。ボスは弾幕系です。ただまあ、アクション技術でなんとかするゲームではない気がします。キャラクター強化を積んで力押しが基本だと思います。




成長要素など
拠点では「スキル」をカスタムしてプレイヤーの永続強化ができます。基礎能力の向上や、ボーナスの追加など。ステージ中で得たコインを使用してショップで購入し、コストの範囲内で付け替えができます。コストの上限はキャパシティ上昇スキルを購入することで増やすことができます。
まずは、稼ぎ系とスロットプラスあたりから付けていくのが効率がいいんじゃないでしょうか。スキル装備メニューでは、決定ボタンを押さないと変更が確定しないので注意しよう。はじめのうちは、何度付け直しても外れてるなーとかやってました。
また、同じくショップで購入することで、持ち込めるグリモアや、レベルアップ時に出現するサイドブックやアーティファクトを追加できます。アーティファクトは、一時強化のパッシブスキルみたいなやつです。デッキ型のゲームと同じで、アンロックした数が多いほど狙いのものは出にくくなるけれど、最終的には全部買うことになると思うので、あまり気にしなくていいかもしれません。毎回1度タダでリロールができるアーティファクト「鍵神の祝福」がぶっ壊れ性能なので、早めに買うのがよいと思います。
ステージ中の一時強化としては、敵を倒すとドロップするジェム型の経験値を一定数集めるごとに、キャラクターがレベルアップします。レベルアップ時は報酬としてアンロック済みのサイドブックやアーティファクトが出現します。報酬は2択や3択で、抽選はおそらくランダム、所持ダイスを消費してリロールを行うこともできます。また、レベルアップ後は一定時間無敵になります。ちなみに、最大レベルは100で、以降はレベルアップが発生しないので報酬は獲得できません。とはいえ、そこまでいくことはほとんどないと思うけれど。
それはそうと、最近の流行りなのかもしれないけど、こういう逐一ポーズが掛かって一時強化を選択するみたいなつくりは、テンポが削がれる気がして僕はあまり好きではありません。頻度の問題もあると思うけど、そもそもアクションゲームとの相性はあまりよくないんじゃないかとも思う。もうちょっとリアルタイムでうまい具合に処理できる方法が発明されないかなー。あるいは、タイミングを決めてしまってまとめて行うとか。
あとは「魔法XP」を獲得して「魔法レベル」が上がると、グリモアのショットの威力や消費マナ量が上がります。最大魔法レベルは30です。魔法XPはレベルアップ報酬でサイドブックを取得、あるいはスキップをすると獲得できます。なので、魔法レベルはキャラクターのレベルとほぼ連動しており、つまるところ上がらないのはアーティファクトを選んだときだけです。そして、ダブりのアーティファクトは出現しないので、最終的には同じような結果に収まります。
第6層以降のステージでは、効果が高い代わりにデメリットなどがついた「リスキーな」サイドブックやアーティファクト、ドロップアイテムが登場します。これらのアイテムを取得すると「侵食ランク」が上がっていき、視界が狭くなったり敵が強くなったりします。ステージを終えても侵食ランクは維持され、拠点でコインを支払うことでリセットができます。とはいえ、侵食ランクは天井があるので、強化ができていないステージ序盤がしんどくなる程度だと思います。あまり気にせず取っていって、つらくなったら下げようでいいのかもしれません。
ひとまずまとめると、サイドブックの組み合わせのパターンは豊富で、弾幕シミュレーター的な面白さはあるのかもしれないけど、ゲームバランス自体は大味です。なんとなく数を取っていけばなんとかなってしまうので、攻略との繋がりは薄く、意思決定による面白みはありません。そもそもこれ選ばせる意味ある?と思ってしまう。ダメージ値などの表示もないので、手探りになってしまうのもマイナスで、強化を積み上げていくゲームは、具体的な計算式やパラメータを見せたほうがいいと思います。特に、本作のようなシンプルで敵がたくさん出るようなゲームは、見た目のフィードバックが弱いので、自分の選択がよかったのか悪かったのか、よくわからんという感じになりがちです。選ぶための情報をください!




その他
安定性など
後半のステージでは、侵食ランクが上がって敵が大量に出現したり、グリモアと複数サイドブックの組み合わせの相性などの要因によって、処理落ちが発生し、著しく操作性が悪くなります。アプリが落ちたりはしなかったのだけど、仕様上こうなることは想定できるわけだし、雑な仕事だなあと思ってしまいます。

エンドコンテンツなど
後半のステージになるにつれ、難易度は少しずつ上がっていくけれど、やることは変わらず単調なので、慣れてくると開始数分でまどろんできます。10分ってこんなに長かったのかと感じてしまうほど。それで、おそらく第10層の「禁忌エリア」が最後なのだと思うけど、クリアしてもエンディングみたいなものが流れたりはしませんね。深淵の果てには何も存在しなかった。
トロフィーは、グリモア、サイドブック、アーティファクトを、ほぼ全種類使用するというものがあるので、コンプリートを狙っている方は意識してプレイしたほうが効率はよさそうです。トロフィーの説明は曖昧だけど、それ以外は普通にやっていれば埋まるでしょう。なお「スキルマスター」は、ショップですべてのスキルを購入した段階で獲得できます。「サイドブックマスター」は、全部じゃなくても委員会。


さいごに
お手軽ゲームと割り切って遊べる方におすすめです。
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