どうも遠い彼方の記憶にあるボードゲーム版遊戯王ダンジョンダイスモンスターズをまた遊びたいなと思ったらアマゾン15000円で白目こと、おもたろうです。
冒頭から何を言ってんだおめぇですが、今回ご紹介するのは、そんなノスタルジックセンチメンタルジャーニーな気分を触発するゲーム(個人差あり)になります。
それがInscryptionだ!
Inscryptionってなに?
『Pony Island』『The Hex』のクリエイターがビデオゲームへ贈る、精神を溶かすような自己破壊的なラブレター。『Inscryption』はデッキ構築型ローグライトと脱出ゲームスタイルのパズル、さらにサイコロジカルホラーを血で混ぜ合わせた暗い旅へあなたを招待する。しかし、カードたちにはそれよりも遥かに暗い秘密が刻まれている…。
(Steam紹介ページより)
紹介分から要素が多い!と思わずなりますが、プレイすると不思議とこれはイグザクトリィだわとなってしまいます。やりたいことを組み合わせていった作家性の濃い癖強めのゲームといった感じです。
ただサイコホラー要素はほぼないので、その辺りが苦手な人も臆せず遊べると思います。逆にその辺りを期待すると肩透かしになりますのでご注意ください。
私はPS5版でプレイしました。後述しますがSteam版特有の要素もあるそうなので、その辺りの要素が好きな方はSteam版を検討ください。
プレイ時間はクリアまでに10時間いかないくらいです。クリア後のやりこみ要素をプレイすると+5~10時間くらいになるでしょうか。ローグライトカードゲームなので好きな人はより長く遊べるかもしれません。
いつものことですがネタバレありでレビュー(という名の感想)を書いていきます。
というかInscryptionはネタバレなしだとSteam紹介文以上に書くことがないです。
ネタバレが嫌な方はここから可及的速やかに離れ、SteamのページへGO!
最近はネタバレに対して強い言葉で叫ぶ輩が多く、なまじ市民権を得ているためか肉しみが行き過ぎている気がします。
ネタバレを平気な人までもが人間扱いされないような風潮はどうかと思います。独善的なソードマスターもほどほどにして欲しいです。
思わぬヘイトを吐いてしまいましたが、ここからは張り切っていってみよ~!
良かったところ
トリプルアクセルストーリー展開
不気味なGMとの闇のゲームを制覇して第三部完!となっていたら唐突にジムキャリー似の開封動画ユーチューバーが出てきたり、ポケモンカードGBが始まったり、ロボットが意志持ち出して大いなる超越とか眠たいことを言い出したり、デュエルディスク腕にはめてたりしたら、ジムキャリーぶっ倒れ死んでたんだよね。
二転三転とするうちに最初はカードゲーム目当てだったのにストーリーの方が気になってくるんですから、いい意味で裏切られました。
初っ端からゲーム開始画面でニューゲームが選べなくておっ?てなり
1人で全役してくれるGMと楽しいひとときを経て
唐突のジムキャリー登場
ポケモンカードGBを挟み
メタ的な要素が押し寄せてきたと思ったら
軽くネタをぶっこみ
oh my god…
どうだいこれがInscryptionさ
プレイヤーキャラ、プレイヤーの境界と世界観の作り込み
Inscryptionの大まかな流れは、一人称視点でゲームを進めてクリアしたと思ったらゲーム内ゲームということが明かされ、更にプレイしているのは自分ではない誰かで自分は映像を見ているだけということが発覚したと思ったら、残った謎解きはプレイヤー君たちに託された!そしてInscryptionというタイトルに立ち返るとなります。
このメタを織り交ぜた自然な視点移動の流れがプレイヤーをストーリーに引き込むフックとなっています。
ゲームのストーリーにプレイヤーが介入できないため、例えはちょっと外れているかもしれませんがUNDERTALEのようにプレイヤーの目線やプレイヤーへの投げかけを意識した作品のように感じました。
カードゲームとアドベンチャーのミックス
私がInscryptionのゲームプレイで一番気に入ったのはAct1のレシーとのゲームです。
暗い不気味な小屋で髭もじゃのサイコおじさんと負けたらカードにされてしまう闇のゲームに興じる。なんとも幼少の頃に夢想した千年アイテム味が溢れるではないですか。
情報がほとんど与えられていない絶望的な状況から始まり、ゲームをしながら部屋に隠された謎を解き、しゃべるカードの仲間を集め、時には勝利の代償に自らペンチで歯を抜き取る。
しまいにはナイフでくり抜いた目玉の代わりに差し出された義眼に脱出のヒントがあるなんて最高です!
願わくばレシーのゲームをもっとボリュームアップして堪能したかったです。
気になったところ
ゲーム内で情報が完結しない
このゲームは本来Steamで発売され、所謂ARG(alternate reality game)の要素を含んでいます。
私はARGに馴染みがないので定義はよくわかりませんが、Inscryptionを例にとると、ゲーム内の暗号をゲーム外で解いて結果をゲーム内に反映させるとまた新しい暗号が..そんな流れでみんなで謎解きゲームをやろうぜみたいなことです。
Inscryptionを普通にクリアしただけではストーリーに明らかになってない点が多く、補完情報をARGという形に落とし込んでるわけです。参考に詳しく記述されている方のブログを挙げておきます。
こういった要素はどうしてもリアルタイムで参加している人向けで、家庭用コンソールに移植されて一週遅れでやっている私みたいな人にはへーとしかならないんですよね。
試み自体は私も面白いと思うのですが短所長所は表裏ですからね。
またどうやら製作者のゲーム群は世界観を共有しているらしく、今回の作品もピースの一つで全てが明かされてるという話でもないようです。
ストーリーに釈然としない点がある
ARGはまだいいです。情報もネットの力で補完できました。それでも釈然としない点が見受けられます。
Old-dataに邪悪さを感じない
Old-dataによりゲームキャラ達は自我を持ち邪悪な野望を持っているように示唆されますが、スクライヴみんなピュア。
レシーは闇のゲームを純粋に楽しんでほしいだけのGMだし、カメムシはみんなで争いしたくないだけだし、オコジョはネットデビューしてもっとたくさんの人に自分が考えた最高のゲームをプレイして欲しいだけだし、マグニフィカスは高橋先生リスペクトのパクリ野郎なだけだし、悪魔の宿った恐ろしいゲームが目的に全くコミットしていません。貞子くらいの気合を見せろよヒトラー。
Inscryptionがリリースされた目的は?
ゲームにより与えられた情報を真とすると、Inscryptionというゲームはルークのプレイ動画とルークの秘蔵ビデオがセットになったどちらかというと映像作品という扱いになるでしょう。(プレイヤーは自分でプレイしているようで実際はルークがゲームをしていることになっています)。こんなものをリリースできるのはルークをBang!した女かオコジョくらいなものでしょう。
ではリリースする目的は?InscryptionがダウンロードされたPCを使った並列処理でカーフェネルコードの解読?Old-dataの全世界流布? 私の解釈不足もあるかもしれませんが、まどろっこしいしゲームという形態をとることが理にかなっているように思いません。
ただ単にP-03が目的を達成しだだけ? この辺りは詳しい方がいれば是非ご教授願いたいです。
カードゲーマーとしては物足りない
恐らく大半のカードゲーマーが抱く感情でしょう。カードの種類も多くないですし、強いカードと弱いカードがはっきりしているので、数回やれば勝つデッキ構築パターンが見えます。
これも表裏の話で、複雑化するととっつきにくくなり脱落するプレイヤーも出てくるでしょうし、必ずしも難解だから面白いというわけでもないですから難しいです。
好意的に解釈すれば、間口を広げるためにポケモンカードGBをやっていた頃の頭、気持ちで遊べるそんなカードゲームを目指したのかなと思いました。
まとめ
過去のカードゲーム作品に対するオマージュに溢れなんだか懐かしくなります。
おセンチな気分になりたいカードゲーマーにおすすめです。
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