アストロボット(ASTRO BOT):レビュー

PS5

どうもカニの味噌汁がなんでこんなに美味いのかは神のみぞ知るんだなぁこと、おもたろうです。

特に理由もなくサボり、特に理由もなくまた筆を取ってみました。もちろん理由がないというのは詭弁であり、物事の大半には理由があります。ただその解析と言語化を怠った結果が理由がなきゃダメかい、なんとなくといった便利なエクスキューズなのです。

今回ご紹介するのは、そんなしみったれた内省とは一線を画すアゲアゲでブリブリの一作、当ブログには珍しく空を超えて時代の先っちょ、ジェットの限り銀河の先端の最新作です。

それがアストロボット(ASTRO BOT)だ!

アストロボットってなに?

アストロと一緒に超ビッグなスペースアドベンチャーに繰り出そう!

PS5の母船が襲われて、アストロと仲間のボットたちが銀河中に散り散りに。頼れるデュアルスピーダーに乗って、驚きと発見でいっぱいの50以上の惑星を股にかけた大冒険へ出かけよう。アストロの新しい能力をたっぷり使いながら、PlayStationを代表するヒーローたちを救い出そう!

(公式サイトより)

ゲーム性はスタートとゴールがあるシンプルなステージクリア型のアクションゲームです。

脇道やちょっとした謎解きをすることでパズルピースの獲得(おまけ要素解禁)やボットレスキュー(301体救出がゲームの最終目標)、隠しステージの発見が出来ます。

基本アクションはジャンプ(滞空)、パンチ(溜め可、ギミックの掴み)のみで非常にシンプルで、ステージによってギミックのアクションが追加されることになります。

またデュアルセンスコントローラの機能(ジャイロ、感圧パネル、トリガーエフェクト等)をふんだんに使っているのが特徴です。

難易度は優しいです。小学生くらいであれば難なくクリアできると思います。

プレイ時間はトロコンで15時間くらいでした。

良かったところ

誰にでも出来る事を面白く

まず第一にこのゲーム面白いです。

しかしいざ言語化の壁が私の前に立ちはだかった時、少々困惑しました。というのも私のゲームにおける価値観とアストロボットは一致しないからです。

皆さんはゲームの何が面白いですか?と唐突に聞かれたらどう答えますか。理由がなきゃダメかいは鉄腕グーパンとして、各々の価値観と照らし合わせれば、いくつか回答があると思います。私にとってゲームの面白さの一つ、それも核となることにストレスとその解放があります。製作者から与えられた課題に対して試行錯誤して自分なりにアプローチし、クリアと共に達成感とささやかな成功体験を得る。私にとって面白いゲームはストレスの掛け方、アプローチの手段、カタルシスの感じさせ方が巧いゲームとなるわけです。

子供時分、PCエンジンのゲームがクリア出来なくてエテモンキーのようにキーキー騒いでいると、ゲームをまったくやらない母親からはそんなになるならやらなきゃいいじゃないとよく言われました。

傍から見たらさも真理然としていますが当事者にしてみればあまりにもナンセンスな一言です。私のゲーム原体験からくる根底にはマジだから悔しい、マジだから楽しいが刷り込まれているのです。

翻ってアストロボット、簡単です。老若男女問わず、誰にでもストレスなくクリアできる作りになっています。きっとあの頃の私も猿になることないでしょう。

でも面白い。フロムによる特殊な訓練を受けた私にも響く面白さ。コレ…ガ…ゲーム…?と感情を取り戻す面白さ。

最近ちょうど岳を読み返していたので、やったこもない登山に喩えてみます。私が好んで登るのは険しい山。山を登るには、装備を整えたり、ルートを考察したり、自身の体力、スキルといったこと多くが問われます。登頂までの道中は決して楽じゃなくとも山頂で見る絶景、食べるおにぎりの味はひとしおでまた山にこようといった気分になります。

アストロボットは最早山じゃないです。天保山です。標高4.53mです。サンダルで大阪メトロで着きます。それでも面白い。海遊館もあるし、レゴランドもあるし、ちょと船に乗ればUSJにも行けます。天保山公園で食べるおにぎりだって美味しいですよ。

蛇足の喩えで同じことを反復してしまいました。つまりアストロボットは偏った価値観を持った私にすら達成感だけがゲームの面白さではないということを再認識させてくれる力がある作品ということです。

ストレスと達成感を完全にスポイルしながらも、誰にでもクリアできることとゲームとして面白いを両立させているのがアストロボットの巧さであると言えます。

取捨選択が徹底されたゲーム

ではアストロボットのどこに海遊館、レゴランド、USJ味があるのかですが、私はひとえに作り込みにあると思います。

具体的なことを挙げれば、

  • 隠しステージも含めれば全80ステージ以上、それぞれ違ったコンセプト、ステージに合わせたギア、BGM、ステージごとに毎回新鮮な表情が現れます
  • スペシャルボットの小ネタ クリスのメモにはかゆうまだし、ブラボは銃パリィしてくるし、かぼたんはかぼたんです
  • ステージクリアに何の関係もないのにバスケットボールがあればシュートできちゃうし、スロットがあれば目押しで遊べちゃう、そしてそれが実績という形で肯定されます
  • ジャイロ、感圧パネル、トリガーエフェクトのギミックだけじゃなく、ボットの歩く質感が床によって変わるのをコントローラからの音で表現したり もう色々デュアルセンスコントローラが世界一うまい
  • ステージクリア時にデュアルスピーダーに乗ったまま放置していると、ボットがこっちに向かって手を振ってくれたり、放置というアクションにすらアクションが返ってきます

これらはほんの一例でしかないですし、私が見落としているこだわりも多々あることでしょう。一つ一つが細かでも自分の予想を上回る挙動が予想報酬誤差として面白いを積み重ねていく、私がアストロボットを面白いと思うのはこういったからくりではないかと考えています。

また神は細部に宿るが如く圧巻のこだわりを見せる一方で、このゲームを楽しむうえで雑味になるものが徹底的に削ぎ落されています。雑味とはストレスです。

道中の難易度もさることながら、ボットのアクションもスムーズで快適、小まめなリスタートポイント、ゲーム全編を通してロード時間を感じさせないつくり、ボットやピース探しに詰まって高性能のお助けキャラがあったり、あらゆる面でストレスと無縁なゲームデザインになっています。

私も海遊館でユキちゃんに癒されたいだけなのに、駅から徒歩30分です2時間待ちですとか言われたらあ、でしたら結構ですとなります。

ストレスなく、如何に自分たちのアトラクションを楽しんでもらうか。アストロボットはそういった意味で要素の取捨選択が徹底された戦略的に振り切ったゲームであるといえます。

アストロが可愛い

とりあえずこれを見てくれ、どうだ可愛いだろ!そうこれがソニーコンピュータエンタテインメント!

気になったところ

一度きりの体験

正直こういったコンセプトのゲームとして欠点らしい欠点は見当たりません。あえて言うのであれば長所の表裏の話になります。

ゲームがストレスフリーかつイージーであるので、フルプライスのゲームとしてはすぐクリア出来てしまいます。週末に本腰入れてしまったらそれだけでトロコン出来てしまいます。

加えてこのゲームの面白さは、視覚的な芸の細かさであったり、予想を上回る新鮮な挙動の体感に依るところが大きいため、初回プレイに面白さのピークが集約されてしまいます。

その結果、多くの人が一度クリアしたらこのゲームに満足してしまい、リプレイ性に乏しい賞味期限の短いゲームと言えるでしょう。

見知ったゲーム性

最早難癖に近いですが、誰にでも出来る単純さ故にアクションゲームのシステムとして目新しさはないです。

PSの過去を彩る面々に馴染みがなかったり、アストロの可愛さが響かなかったり、製作者サイドのマニアックなこだわりに価値を見いだせない人にとっては退屈なゲームに映ることでしょう。

その他

おまけ攻略メモ

ピース、ボット、隠しステージは各ステージクリア後に解禁される鳥を購入していけば問題なく発見できると思います。

ピースについてはベースキャンプのボーリングでストライクすることで取れるのを見逃しがちかもしれません。

トロフィーに関して、見落としやすそうなものを挙げます。

スパイは許さない!

ボット・オブ・ウォーで8匹の緑色のカラスをすべて倒す。中盤にカラスを何匹倒したかの表示板があるのですが、最後の一匹はステージの奥、ハンマーの裏にいます。

トリップ注意

ステージ中盤で紫色の線が張った罠(トラップキャスター)があるので、それを使って敵を7体倒します。一度で倒す必要がないので、敵がいなくなったら落下してリトライしてもよいです。

ツーインワン

ステージはらぺこワームの大空洞でカエルギアを使って、2匹のワームを同時に引っこ抜きます。2匹は洞穴をちょっと進んだとこにいます。

実は仲良し?

アンチャーテッドのネイトとトゥームレイダーのララが一緒にいるところを撮ります。△ボタンで集合させて何回か撮れば行けると思います。

ツイスターの時間

初代マスコットはクラッシュバンディバンディクーです。

ボットボットレボリューション

ベースキャンプで100体以上のボットと一緒にダンス。ゲーム内で説明があったかわかりませんが十字キーの下を押すとダンスできます。

まとめ

PSとアストロが嫌いな人以外にはおすすめです。

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