どうも迷宮のラビリンスと聞いても全然違和感ないくらいの英語力しかないこと、おもたろうです
思えば中学の英語力でもピンとこなかったけど、Kill the kingの歌詞って大人になってもおいらわからねぇよ
ということで今回ご紹介したいのはキングをキルしたい、かの邪智暴虐の王を除かねばならぬ系ダンジョンクローラー
それが魔王の迷宮 Labyrinth Of The Demon Kingだ!

魔王の迷宮(Labyrinth Of The Demon)ってなに?
「魔王の迷宮」は、悪魔が押し寄せる架空の封建時代の日本を舞台にしたやりがいのあるファーストパーソンダンジョンクローラーです。あなたは孤独な歩兵となり、主君を殺した魔法を追って倒す旅に出ます。しかし、あなたは果たしてこの無情な世界が叩き付けるあらゆる恐怖を乗り越えるのに必要な能力、リソース、スタミナを得られるでしょうか?
(Steamより)
タイトルのちぐはぐ感、洋楽の邦題のようなこの感じ。それもそのはず、日本を舞台にしてますが、制作のJ. R. Hudepohl氏は、ニュージーランドの方ぽいです。なので翻訳関連は一つのエンタテインメントとして見ましょう。ちなみにデビットボウイの映画とは全く関係ないです。

Steamの紹介通りですが、一人称のダンジョン探索アドベンチャーです。アドベンチャーパートの探索や謎解きはローポリも手伝ってサイレントヒルみたいな手触りです。戦闘はキングスフィールドを彷彿とさせますが、RPG的な成長要素はあまりありません。なのでアクションRPGというよりも、バイオやサイレントヒルみたいなホラーアドベンチャーのプレイフィールになると思います。ジャンプスケアーみたいのはないのでホラー的に身構える必要はないです。
私はPS5でプレイしました。プレイ時間はトロコンで5-10時間くらいです。EDの分岐みたいなものはないと思います。
難易度はノーデス縛りみたいなことをしなければ簡単です。
良かったところ
ノスタルジックホラー体験
PS1風のローポリがまさか2025年に復活しているなんてお釈迦様でも気がつくまい。2025年の新作なのに、PVから沸き立つこの郷愁を誘う香りはなんだ、私の海馬が購入のボタンを押させている。私には昨今のゲーム制作事情は窺い知れないですが、あえてローポリを作る意図はセールス的なことではないように思います。そしてマップ移動時の扉演出を見て、確信する、これは癖なんだ。ローポリなんて一瞬でロードが終わる現代でこの演出を入れる意図は入れたいからしかない。原体験としてあの頃が強烈に染みついちゃってる人が作りたくて作ってるんだ。そういう熱量を感じます。

探索中に現れて程よい緊張感を演出する無敵の敵(塗仏)。逃げるしかないやつ、あったよねぇ!アイテム取り行きたいけど袋小路どうしようをこんなに鮮明に思い出すとは。

ローポリにはディテールが描かれないからこそ想像の余地があります。これがホラーのような得体の知れないものと不思議な親和性があって、世界観に没入する手助けになっています。何やら不穏な謎解きをやっていると小学生ときのドキドキがリフレイン。遂にタイムマシンが発明されたかもしれない。


この通り、おじさんには響く要素が多い本作ですが、生まれて初めて触ったゲームがswitchでしたみたいな子にはどう受け止められるか興味があります。
彼らにとってローポリの目新しさはあるでしょうが、ゲームの手触りが古臭いのは否めないと思います。私が不朽の名作と言われた1970年台の映画を見た時のような気分になるかもしれません。この辺りは私が判断できるところではありませんが、とりあえず懐古おじにはお勧めしたい気持ちがあります。
サクッと1泊2日くらいで遊べて体力のないおじさんにもピッタリのノスタルジックトリップです。

シンプルシリーズ2025 The 戦闘
本作はスタミナ管理型のシンプルな戦闘です。回避、特にバックステップは防御手段として万能ですが、連続使用にはスタミナを消費します。もちろん攻撃にもスタミナを使うので、調子に乗っているとあっという間に何もできなくなります。そこでスタミナを使わない防御手段であるガード(パリィ)があります。このパリィはめちゃめちゃ持続が長い性能の高いものでとりあえず置いとけば成功します。そこから攻撃に繋げることもでき、一連の攻防に馴染みやすさがありシンプル故にしっくりきます。最初のボスとの攻防はもはや餅つきです。
攻撃も部位によってはクリティカルになって首が飛んだり、単純ですが一人称での戦いの面白さが出ていると思います。

敵同士がすぐ仲違いするのも面白いです。バケモンにはバケモンをぶつけんだよを自分ができるなんて感動です。なお合体したりはしませんのでご安心。

等活地獄は救済なり
敵が出るマップでは常時不穏なBGMが鳴ったり、じっくり探索しようにも不死身の塗仏が徘徊していたり、何かと緊張感を煽る演出の多い本作ですが、死にほぼデメリットがありません。ロストするものもなく、アイテムも死亡時のまま、イベントの進行具合も保持、最後のセーブポイントにワープさせられるだけです。何なら体力は全回復するし、場合によってはデスルーラとしても機能します。
マップから入手できるリソースが限られており、敵を倒してもほぼ回収できないので、詰まないための救済措置だと思います。難易度選択とかもないですしね。
ストレスの緩和と達成感や緊迫感の低下がトレードオフになってしまいますが、今回は遊びやすいという面に軍配が上がっていると感じます。
特に本作は入り口からニッチですから、最後まで遊んでもらうためのあり方として正しいと思いました。

気になったところ
ささくれの積み重ね
PS時代ゲームの荒削りまで踏襲する必要はなかったと思います。思い浮かぶ何点か挙げてみます。
- 茶屋に入ると武器の装備が強制解除され、マップ移動後、装備しなおさないと丸腰で戦わされる
- 武器は豊富にあるのにクイック切り替えがない 保管したりソートもできない
- HPやスタミナがMAXの状態でもアイテムが使えちゃう(誤操作のストッパーがない)
- 中盤でもらえるエスト瓶的役割の抹茶は補充が面倒(使わないでも全然クリアできるが)
- 防具は3シリーズ+αあるけれども違いが数値的に何の説明もされない(あまり問題にもならないけれども)
- 敵の涌きがランダムなので、扉を移動した瞬間殴られているみたいなことが一部マップで起きる

一つ一つはささやかですけど結構、ささくれだっちゃってるんです。これがあの頃のオマージュなのかどうか闇の中ですが、最近のゲームに甘やかされた私には気になって気になって、手の甲まで剥けるかと思いました。
戦闘の単調さ
シンプル故の表裏、挙げるのはナンセンスかもしれないけれども、あえて触れなければいけないとも思います。ゲーム体験としての戦闘の面白さがゲーム序盤と終盤で変化していくためです。
シンプルでやれる事が少ないということは、敵の攻略パターンも限られるということ。パリィ攻撃の後の先でほぼ全ての敵に対応できます。プレイヤーの慣れと敵の種類も多くないのが相まって、ゲームが進むにつれ戦闘の面白さが低下していきます。正直、護符を使えばラスボスもノーダメ余裕です。
本作における戦闘は危険を遠ざけるものという位置付けになっており、敵から経験値が得られるようなこともなく、稀に金や消費アイテムがおまけ程度にドロップするだけなのも、戦闘のモチベーションを低下させます。
武器の豊富さと尻子玉(強化素材)の数が見合ってない
本作、刀から始まり、大刀、槍、薙刀、棍棒、斧、果ては十手まで、この規模のゲームにしてはかなり武器種のバラエティーに富んでいます。
ただそれらを十全に使うにはあまりにも入手できる尻子玉の数が見合ってません。実績にもある武器の最大強化を1本してしまうともう他の武器は禄に強化できません。戦闘も難しくないので模索するということもなく、沢山の武器があっても結局は私みたいに薙刀1本でクリアしちゃうみたいなことになると思います。
どの武器でもクリア出来るというのは美点かもしれませんが、逆に終盤で手に入る武器にほぼ価値がないという体験はマイナスポイントになるような気がします。
せっかく扉を開ければ無限に敵がこんにちはするんですから、ケツから無限モツヌキ地獄開催してもよかったんですよ。

型破りなマップ
鍵がかかってるとか何かでつっかえてるという扉があったら、ああ後で開けれるやつねって思いますよね。その憶測、常識、甘い、甘すぎる、MAX缶コーヒーよりも甘い。いつか回収されるだろと考えてるうちにストーリーはどんどん進んじゃうし、隠し扉があるのかと壁を叩きまくっても一生開けられない扉のなんと多い事か。
松明を持っても暗い部屋、ある程度歩いても同じ景色が続いている。ははーん正しい道を行かないとループするやつね。その浅知恵、小賢しい、なまじゲームをやってるからしたり顔ですぐそれだ、ダニング・クルーガーの馬鹿の山見つけたり。正解はな、ただマップが広い、だ。頭を使う前に足を動かせ。
ラスト前の塗仏とのチェイスするシークエンス。無敵の塗仏から逃げながら、螺旋階段の塔をひた走る緊迫のシーンだ。しかしどうにもおかしい、塔のグラフィックは明らかにループしてる、BGMの盛り上がりもひと段落している、いくらなんでも長い、長すぎる、今度こそループしている。とは言っても相も変わらず塗仏は武器も護符も時間稼ぎにしかならないし、キーアイテムも、インタラクトできるようなポイントもない。今度こそ詰んだ。全く君は何も学ばないな、愚者は経験に学ぶというが、経験すらも糧にできない君は救いようがないよ。てめーの敗因はたったひとつだぜ たったひとつの単純(シンプル)な答えだ。
「階段がすげー長い」。ゴールにたどり着いたとき、このゲームやってて一番声出た。

攻略メモ
全般的なTips
- 線香はスタミナ全振りでもいいくらい
- 敵はスルー出来るなら倒す必要もない
- 箱からはランダムで虫が発生する キックで壊すのとバックステップをセットにすると被弾しない 下を向きながらキックボタンでストンプ
- 扉や階段の演出はスキップできる
- 尻子玉は数が限られる。お気に入りの武器に全力投資を推奨
- 防具は実績の為に1段階強化すれば事足りる
- 武器はどれでもクリア出来るが、刀か薙刀あたりが使いやすい
- ショップは線香がおすすめ 両手武器を使う場合は松明が持てないのでランタンで快適度が上がる 武器は似たような性能のものがあるので買う必要なし
- 死亡時にデメリットがないので体力がなくなってきたら回復の為に死ぬのも視野に なおこのやり方だと回復アイテム余る
- 塗仏は扉移動でリセット あと走れば普通に横を抜けれるので焦らなくてよし
- 戦闘は溜め攻撃かパリィからの反撃
より詳細を知りたい方は下記を見るとよいでしょう(投げっぱなしジャーマン
まとめ
厄介オタクの悪癖で色々不満も書いてしまったけれど、毎度個人で制作する人の熱量はあっぱれでしかないです。荒削りというのは原石であるということですしね。
インスタントノスタルジックホラートリップしたい方にオススメです。
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