剣の鋤のみなさんこんばんは!
馬鈴薯何キロ持てる?ゴーストライターのazarashiXです。今回も遊んだゲームのごく個人的な感想を雑多に書いていきます。
はじめに
「両手いっぱいに芋の花を」は、幻の種を探して迷宮を探索する3DダンジョンRPGです。ローポリのかわいい感じのグラフィックと、巷のRPGを再解釈したようなゲームシステムが特徴だと思います。
簡単な感想としては、懇切丁寧で、行き届いている感があるDRPGでした。完成度は高めだと思います。目新しさはあまりありませんが、既存のRPGでよくあるシステムをベースに、「オレだったらこうするね!」という感じで、うまくまとめてあります。よく考えて作られている作品だと思いました。僕も、ゲームで遊んでいて、「これ、ちゃんと考えて作ったの?」と言いたくなってしまうことは往々にしてあります。不平不満を言うは易しですが、本作はそういったストレスを昇華させて、一つの作品として完成させているところが立派だと思います。
上辺ばかりのRPGにはうんざりだぜという方は、こういうのでいいんだよとなるかもしれませんね。あとは、僕もそうですが、DRPGファンのみなさまにもおすすめです。
どんなゲーム
ダンジョン探索
ダンジョンは全部で4種類。拠点とダンジョンを往復して最深部を目指すオーソドックスなゲームデザインです。ゲーム開始時には簡単なチュートリアルがあります。
ダンジョンは複数階層で構成され、いい感じに入り組んでいます。なんというか、往年のDRPGを彷彿とさせる、わくわくする構造をしていてよかったです。かんぬき式のショートカットも至る所に配置されています。また、フロアのマスには高低差があり、キーアイテムを入手することで、高いところから降りれるようになったり、登れるようになったりして探索範囲が広がっていきます。
あとは、明るさの概念があり、暗い場所では地図が見れません。視界も悪くなるので、ダークゾーンの変形のような感じですかね。松明で照らしたり、壁付の燭台に火を灯したりすることで周囲を明るくすることができます。
地図は情報が多くて、ちょっとごちゃごちゃしています。ミニマップと同じ表示に切り替えができたらよかったと思いました。エレベーターが黒塗りなのもわかりづらかったです。あとは、僕は地図をよく見るので、もうちょっと早く開いてほしかったです。また、歩いていない周囲のマスも埋まっていくのは、少し違和感がありました。もう歩いたんだと思って、宝箱を見落とすみたいなことも結構ありました。なので、歩いたマスと、埋めてくれたマスは分けて表示してくれた方がよかったと思いました。
敵は固定配置のシンボルエンカウントのみです。ランダムエンカウントはありません。一度ダンジョンから出ると、ボスも含めて復活します。また、接触方向により、サイドアタックやバックアタックが発生し、1ターン追加で動け、命中率が上がります。敵シンボルは移動しないので、基本的にはプレイヤー側が有利なシステムです。
戦闘
戦闘はターン制のコマンド式です。戦闘にはいろいろな要素がありますが、簡単に紹介します。
コマンド選択時は、敵の行動が先に決定され公開されています。対象や命中率などの情報も全てわかります。
敵も含め、行動にはスタミナというリソースを消費します。また、スタミナはガードなどでも減少します。スタミナは「構え直し」という行動で1ターン消費することで全回復できます。
行動にはそれぞれ開始時間と速度が設定されています。全員のコマンド決定後は、タイムラインに沿って行動が逐次処理されます。相手の行動前に攻撃することで、行動を遅らせて順番をずらしたりできるのが少し面白かったです。
武器や技能には射程があり、対象との距離に対して射程が足りていないと命中率が下がります。
キーアイテムを入手するとタイムラインなどの戦闘時に表示される情報が増えていきます。また、敵や敵の使用する技能のアナライズ情報はいつでも見ることができます。なんとなく、カードゲームみたいです。テキスト量も多くて凝っているし、この機能のおかげでチーフに存在感があります。
ボスは残りHPの割合で行動が変化します。あわせてBGMも変わるのでなかなか盛り上がる演出でした。
武器や技能には斬撃、刺突、打撃、火炎などの属性があり、大体の敵には弱点属性や耐性が設定されています。属性を考えると有利に進めるというよりは、弱点を突くのが前提みたいな調整だと思うので、ゴリ押しだけだと厳しいかもしれません。
体力は戦闘終了で全回復します。体力はゼロでも復活しますが、精神力は回復しません。大体は精神力が尽きて拠点に戻ることになります。なお、初手の都合が悪い場合などは、逃走で擬似的に仕切り直しが可能です。あとは、敵の精神力も無限ではないので、受けきれば粘り勝ちもできます。
全滅しても、拠点に戻されるだけでペナルティはありません。そのため、常に全力で戦って、いけるところまで行って死ねばいいやという感じになります。もう少し進むか、一旦戻ったほうがいいかみたいな駆け引きはないし、緊張感もありませんでした。
全ての敵にはいくつかのドロップアイテムが設定されています。装備で強くなるゲームだと思うので、ドロップ狙いでの狩りは、コンプリート要素だけではなく、攻略にも有効です。また、圧倒的レベル差というゲージが溜まると、同種のレベルの高い敵が出現するようになり、おそらくドロップが確定します。ただ、すべての敵に用意された仕組みではなさそうでした。
拠点には、メニューからいつでも帰還できます。ランダムエンカウントはないので、この機能は適当だと思いました。
キャラクター・育成
調査隊のメンバーは、拠点で作成します。いわゆるキャラメイクというやつです。攻略に影響するのは、クラスの選択だけです。あとは、見た目もそれなりにいじれます。種族も見た目だけの要素で、ステータスは変わらないと思います。また、名前と被り物は後からでも変更できます。
パーティは3人までですが、登録は8人までできます。僕は全クラス作って(序盤は)使い分けてました。パーティーメンバー以外も、レベル差による経験値補正のおかげでレベル上げは簡単で、数戦すればすぐに追いつきます。
ただ、中盤ぐらいからは、工夫するまでもなくいけるようになってしまったので、あまりいろいろ試さなくなりました。どんな組み合わせでもがんばればクリアできるようにはなっている気がします。序盤はちょっと厳しめに感じるけど、技能や装備が揃ってくる中盤ぐらいからは難易度は相対的に下がっていきます。
僕が一番使ったのは、ナイト、ウィザード、レンジャーの組み合わせかなあ。ウィザードが頭一つ抜けて強い気がしました。レンジャーは「落とし穴」が強かったです。奇襲トレハンはもちろんですが、ボス一体でも「投網」「落とし穴」でかなり行動回数を稼げます。ウィザードは「凍結」「石つぶて」が強かったです。普通の速度の行動なら「凍結」が間に合ってしまうので、敵の行動を阻害しつつ、次ターン高火力攻撃に2人分行動回数のおまけがついてきます。「氷柱」のコスパも抜群です。
各キャラクターのカスタマイズは、スキルツリーの形式で行います。主にレベルアップでスキルポイントが手に入り、任意のスキルに割り振っていくやつです。全部は取れないですが、最終的には大体とれるので、クラスごとに数種類のビルドがある感じだと思います。なお、スキルポイントの振り直しは、ゲームを進めるとお金(鉄)を使えばできるようになります。ただ、僕は必要なかったのでやらなかったけど、スキルの振り直しを鉄でするよりは、解雇して同じキャラを作り直した方がコストが安いみたいなのはある気がします。レベルアップも一瞬なので、キャラに愛着は湧きづらいかなーとは思います。
ゲームを進めると、鍛冶屋で装備品の強化ができるようになります。お金(鉄)を消費して、+がついていくやつです。僕は、もっと強い装備を手に入れてからにしようと思ってケチっていたら、使わずにクリアしてしまいました。
そのほか
グラフィック
ローポリっぽい見た目はかわいらしくて万人受けしそうだと思いました。ただ、戦闘においては、派手さや爽快感のある演出みたいなのはないので、全体としての絵は地味めに感じました。
サウンド
BGMは雰囲気にマッチしていて、いい感じではあるんだけど、ループ再生に対応していないのがなんとも言えません。最近はこれが普通なのかなあ。個人的にはなんとなく違和感があります。SEは地味です。
テキスト
シナリオは結構凝っている気がするけど、あまりよくわかりませんでした。チーフが噛み砕いて説明してくれるので、そうなんだねーという感じ。個人的にはこういう曖昧な感じが丁度いいです。
アイテムにはそれぞれフレイバーテキストが用意されています。僕はこういうのを読むのは結構好きなのでよかったです。あとは、セットで絵も用意されているのもよかったです。
TIPSも丁寧でわかりやすいので、メニューなどから見返せたらよりよかったと思いました。
エンドコンテンツ
クリア後の追加ダンジョンなどはありません。
全実績の解除は容易だと思います。普通に遊んでいればだいたい取れるでしょう。
クリア後は、惰性でアイテムと敵のドロップリストを全部埋めました。メッセージが変わるかもしれないと思ったけど、何もなかったです。またつまらぬものを斬りまくってしまったぜ。
気になったところ
ストレスフリー過ぎて、緊張感がない
先に言っておくと、人によっては良いところでもあるのだとは思いますが、僕はどちらかというと気になったのでこういう書き方になってしまいました。
主に、戦闘に関わる部分についてです。あらましとしては、「予定調和で直線的な難易度設定」と「デスペナなしの緊張感の無さ」が気になりました。裏表があるので難しいところだとは思います。遊んでいる最中は、よくできているなあとは思いつつも、夢中になれるというほどではなかったので理由を考えていました。僕は、ずっとやっているとだるくなってくるので他のことを挟みながら少しずつ進めた感じでした。逆に、ストレスなく、じっくり遊びたい気分のときにはぴったりの作品だと思います。プレイ感覚としてはドラクエとかに近いかなーと思いました 。
戦闘については、単調にならないような工夫は随所に見られるものの、結局は同じことを繰り返している気がして味気ないなあと思っていました。驚きとか、刺激がないという感覚が近いように思います。演出面はひとまず置いておいて、それはバランス調整が徹底され過ぎていることに起因するんじゃないかと思います。なんだかすごく贅沢なことを言っている気がしますが、気にせず続けます。前述の通り、戦闘ではほぼ全ての情報が公開されているので、複数の答えがあるパズルを解いているような感じです。初見以外は、勝てるかどうかはパーティメンバーやレベルである程度わかってしまいます。敵の行動パターンも多くないし、相手の出方を見て、勝てる手をひたすら打ち続けるのはなんとも受動的だなあと思いました。あとは、運要素がほとんど取り払われているというのもあるかもしれません。命中率は100%以上にするのがセオリーだと思うし、敵のAIは結構賢いし、シンボルエンカウントのみだし、大きな振れ幅はドロップアイテムの有無ぐらいしかない気がします。よって、意思決定はキャラビルドに集約されることになりそうですが、パーティ編成やスキルはどうやっても大丈夫なようにしてくれている気がして、試行錯誤の場面はほとんどありませんでした。選択肢の少ない序盤こそ少し厳し目なものの、以降はキャラクターの強化やプレイヤーの習熟もあり、圧倒的な展開になりがちです。加えて、デスペナなしが作業感を助長しており、相性がよくないと思いました。
話は逸れますが、おもたろう先生の影響で「MTGアリーナ」のプレミアドラフトをやっていたときのことをなんとなく思い出しました。僕は下手くそで勝率が低いのでジェムがどんどん溶けていって、遊び続けるには課金するしかない状態にすぐになってしまう。さすがに割に合わない気がして中途半端に遊んで他のゲームに逃げてしまうんだけど、MTG自体は面白いので、お金が無限にあったらもっと遊んでいたいなあという感覚になります。とはいえ、もしお金が無限にあったとしたら、僕は別に負けてもいいやと思って真剣にプレイしない気がするし、そうやって遊ぶMTGはつまらないだろうなとも思います。
もっとも、賭けないと面白くないということが言いたいわけではないです。適切な表現が思い浮かばないけど、僕のような不真面目な輩は、「悔しさ」みたいなのがないとゲームプレイに対して真摯になれないということなのかもしれません。悔しさを誘発するトリガーとしてよくあるのがデスペナであり、要するに、「オメーはミスをしましたんで、お金半分にしときますね」とか「アイテム全部没収ね」とか「セーブポイントからやり直しね」とか、ゲーム側からわかりやすく示してもらえないと自分がダメなんだと気づけない。挙句の果てには、本気でやればいけますよとか平気で言っちゃう。これはもう悪癖と言えよう。
まあ、あまり感情的になるのもよくないと思うけど、何らかのフィードバックとか波がないと、作業的になってきてモチベーションが減衰していってしまうなあということを思います。もっと優しいやり方としては、死ぬと攻略のヒントが出たり、強いアイテムがアンロックされたり、残機の最大数が増えたりなどのインセンティブが得られるゲームもよくあります。いずれにしろ、能動的なプレイを促すような仕組みがあったほうが続けやすいですよね。本作を含め、他の部分に魅力がある作品も多いので、必ずしも続けられないというわけではないのですが、ひたすら問題集を解くみたいなゲームはあまりやりたくないです。いい加減にまとめると、持続性の低いプレイヤーを取り込むケースにおいては、単純にストレス要因を排除するだけでは逆効果なのかもしれません。めんどくさい話ですよ、まったく。
さいごに
温故知新なDRPG!
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