ショートフィルムゲーム Paratopic:レビュー

Switch

誰に見られずともひっそり続ける積みゲー消化シリーズ第二弾です。今回はプレイするショートフィルムParatopicだ!なお今回は趣向を変えてどちらかというとストーリー解説メインです。

Paratopicってなんだ?

毎度お馴染みSTEAM公式から引用してみましょう。

VHSテープを密輸したことがバレ、追い詰められる。森で神出鬼没の珍鳥を見つけて写真に収める。怪しげなダイナーのバックルームで、とある男性を殺害する。

* 熱に浮かされて見る悪夢のような、残酷な夢の世界を旅する、ナラティブ駆動型・ホラーテイストのアドベンチャーゲーム。

* 緻密で多様なヴィネットが撚り合わせられ、3人の登場人物の交差する物語が紡がれる。

* 禁じられた産業の残骸を調査し、殺人を犯し、夜通し車を走らせ、捉えどころのない人々と会話をしよう。

* プレイ時間は、のんびり進めても45分ほど。ローポリゴンながら細部まで作り込まれた環境には、多くの秘密が隠されている。もちろんスピードランも可能。

* 1時間以上にわたって続く美しいダークアンビエントミュージックが、繊細で躍動感あふれるサウンドスケープを演出。1990年代の Unreal Engine のサウンドトラックのように、グリッチやテクスチャーパッドとシンセシスやサンプリングとが融合した、現代的で懐古的な作調。

(STEAMより引用)

説明冒頭の一文からなんのこっちゃですが、何も間違ったことは書いてないんです。ちょっと下にも書いてあるのですが3人の登場人物の話が交差して描かれているんですね。ゲームプレイ自体は一本道で特にアクション要素やパズル要素があったりするわけではなく、1時間もあればだれでもエンディングにたどり着けます。

何が面白いのか?

エンディングには誰もがたどり着けますが、ストーリーを正しく理解できたという人はほとんどいないのではないでしょうか。何故そのようなことが起きるかというと、3人の登場人物と時系列が脈絡なく切り替わっていくからです。時系列をシャッフルするのは映画にもよく見られる手法ですが、Paratopicが優れているのは、全編一人称であり、プレイ中のキャラクター性を最小限にしていることで、今自分が誰を操作しているのかを分かりにくくしており、それによるストーリーをより複雑化している点です。ポイントは最小限にしているという点で、逆に注視してみたらだんだんわかるようになっていて、その時に頭の中のピーズがはまっていく面白さがあるわけです。一週目は荒唐無稽のように思えても、二週目ではなんとなく自分なりの解釈が出来てスッキリする。映画でもよくあるあの体験を味わうことが出来ます。ホラーゲームと言われたら僕は全くそんな気はせず、デヴィットリンチの映画を見ている気分になりました。僕は3週しましたが、まだまだ釈然としていないところがあり、解釈の懐が深いゲームと言えます。

味のあるデザイン

全編ポリゴンです。64で007のゴールデンアイってありましたよね。まんまあれです。現実的ではないからこそ想像力を働かされる余地がある。これは懐古と言われても仕方ありませんが、あの時代にゲームをやっていたものならではの感覚になるのかもしれません。BGMもヘッドフォンでのプレイ推奨との通り、こだわりを感じます。この音楽のジャンルをなんと呼べばいいのかわかりませんでしたが、公式によるとダークアンビエントミュージックが各シーンの緊張や不穏さを搔き立てることに一躍買っていることは間違いないでしょう。

要望点

ドライブのシーンが冗長です。やりたいことはわからないでもないですが、あそこまで尺を取る必要性を感じませんでした。

意味のないインタラクトがままある。これは世界観のためなのかもしれませんが、何も起きないし、ストーリーの理解を促すものでもないものがあったりします。

ストーリー考察

以下からストーリーの解説というか自分の理解をまとめていきたいと思います。当然ネタバレになりますので、気にされる方はプレイされてからまたお越しください。

それではゲームのシーン順でなく、僕が想像するストーリーの時系列順に追っていきたいと思います。正直まとめようとしたら色々矛盾点が再発見されたりで、取っ散らかってます。まず3人の登場人物VHSテープの密輸人をA、ダイナーにきた殺し屋をB、森にバードウォッチングしに来た人をCとします。※VHSテープは初めはドラッグみたいなものという描写ですが、だんだんもっとやばいものであることがわかります。

1.Cは車を走らせ州立公園にバードウォッチングにきた。ピンク色の珍しい鳥を追っていくと途中掘っ立て小屋の地下に無人の怪しい施設を見つける。何に使うのかかわからない装置や無数にある画面からは未来のために犠牲(恐らく被験者?)になれという趣旨のメッセージビデオが再生されるが特に何も起きない。何かの実験施設のようだった。Cはその場を後にし、再びピンク色の鳥を置いてかけて鉄塔を超えていくと監視カメラが動いたままの電力会社の工場跡地(?)にたどり着く。そこにはカメラに写そうとするとノイズが走る人型の生物がいた。視認したのも束の間、Cはその人型生物に瞬間移動からの瞬獄殺を決められてしまう。

2.Bは銃を携えて、Cが正体不明の生物に襲われた電力会社の工場跡地に来ていた。(推測の域を出ないが)銃を持っていることからCを殺しに来ていると考えられる。Cは監視カメラに映っており、そこから秘密を守るためにBにCを始末する指令が届いたのかと推測する。指令を出したのは電力会社か実験室施設の人間ではないだろうか。しかし現場に到着したとき、Cはすでにバラバラになっていた。壁には電力会社のマークと魔法陣を組み合わせたようなマークが描かれていた。Bは通報する、救急隊員との会話で現場がハイウェイ6-9であることがわかる。Bは名前は告げずに、電話を切り、証拠品であるCのカメラを持ち去った。Bはこのとき謎の生物に遭遇することはなかった。

3.ダイナーで密輸人(A)がVHSテープの元締め組織(?)の男からVHSテープの州外への密輸の依頼を受ける。この時点でAの視点からは相手の男の顔が定まっておらず、AもVHSテープを摂取(視聴)している疑いがある。相手の男の話しぶりからもAはブツをちょろまかしている常習犯であると推測する。男からはAの自宅アパートにブツを置いてあると言われる。

4.Aは自宅アパートに依頼物であるVHSテープを取りに行く。自室前で向かいの部屋の女から物があることを問いただされる。どうやらAは日常的に複製したテープを女に横流ししているようである。半ば脅される形でしぶしぶ女に依頼物のテープを1つ渡す(組織の男が用意したバッグにいっぱい入っていた)と、テープを見た女はギャグマンガ日和みたいな姿に変容してしまう(ちなみに選択肢によってはテープを渡さない)。(この時Aの部屋のダンボールには赤い肉のようなものが詰まっている。後述する純度の高いテープを見たものの末路で、Aはその処理もさせらていたのではないか?)。Aはその場を立ち去り、州外へ向けて車を走らせる(ビルの多い街中⇒ビルの少ない郊外⇒電柱と木ばかりのハイウェイ(日も移動と共に沈んでいく) 助手席には電力会社のマークがついたVHSが入ったバッグがみえる)

(みんな目が死んでる

5.Aは途中ガソリンの給油にスタンドに泊まる。スタンドにある雑貨屋のおじさんと会話。おじさんはやたらと宇宙人について言及し、今読んでいる本の作者はエリックという。*エリックとはエーリッヒ・フォン・デニケン(Erich von Däniken)のことだろうか?Wikiより彼の著書では地球外生命体あるいは古代宇宙飛行士が地球を訪問し、初期人類文化に影響したと主張している。宇宙人と電力会社の関係性を匂わせているのではないだろうか。何故か外を見ても車の存在がない。

6.(この場面はBであるという根拠に乏しい)Bも車で移動中、Aが泊まったガソリンスタンドで給油することになる。おじさんとの会話でBは元々地元の人間であったが仕事の為、故郷を出ていることがわかる。自分は今便利屋のようなもの(殺しも込み?)をしている。10年前に電力会社は事故があり、なくなったという話を聞く。事故の詳細は誰も知らず、おじさんは電力会社を宇宙人への贈り物にしたんだと思うという。雑貨屋から外を見まわすと何故か車の横にはCを襲った黒い人型生物が立っている。

7.Bはダイナーに来ていた。机には拳銃とCのカメラがある。心の声か電話なのか判断はつかないがBはダイナーで証拠品(VHSテープ)を回収しろという指令を受ける。ダイナーに人がいなくなったのを見計らい、バックヤードに乗り込み男を射殺する(この男は服装と顔から判断してAに密輸を依頼した人物だと思われる)。Bはバックヤードに散乱したビデオテープを再生する。壁にはCが殺害された場にあった電力会社のマークと魔法陣を組み合わせたようなマークが描かれていた。

8.Aは州境まで来ていたが、予めタレコミ(恐らくB関連の組織)がされており、検査官(?)にVHSテープを押収されてしまう。ただのVHSテープなら何も問題ないはずだと、検査官はVHSテープを視聴してしまう。検査官は頭がビデオとなり、残りの体はバラバラになってしまう。Aの前に落ちたビデオにはBe seeing you friendの文字が浮かび上がる。

はい!よくわかりませんね。次に残った謎の部分について言及していきましょう。

VHSテープとはなんだったのか?

電力会社は偶然か実験の成果なのか、宇宙人のコンタクトを成功させ、捧げものをとして森の中の施設を宇宙人に明け渡した。その宇宙人からの交信手段あるいは人類への実験装置がVHSテープだったのではないでしょうか。恐らくAがやっていたような複製された純度の低いテープではドラッグのような依存性や幻覚を見せるだけですが、純度の高いものになると人間を変容させる(進化させている?)力もあるようです。ただ人類にはまだ早すぎた代物で服用した人間はやがて肉塊のようなものになってしまうのではないでしょうか。そのため秘かに流通させ実験を続けている、あるいは徐々に人類に浸食させている。ゲーム的には時代背景を示すものがほぼ出ないので、何とも言えないですがVHSテープも荒いポリゴンも大体同時期のものでしたので、そうした懐古的な親和性を狙ったのではないでしょうか。

Bは何ものなのか?

これはホントに頭がこんがらがります。上のストーリー解説ではBは電力会社側、もっと言えば宇宙人側の人間としたのですが、ダイナーのバックヤードでも電力会社と魔法陣的なマークが見つかります。つまりAに密輸を依頼した男もテープを流通させるための電力会社側の人間とも思えるんですね。これを是とするならば、Bは誰の依頼でこんなことをしているのか、何故Cの殺害現場に赴いているのか、Cを殺した地球外生命体にBが襲われなかったのかがしっくりきません。

またBがビデオテープを見た瞬間に男を射殺した場面に巻き戻るというのを3回繰り返す演出がありますが、これもよくわかりません。VHSの巻き戻し機能と何か関係が?

ドライブの描写

ゲーム中ドライブのシーンは3回描写されますが、毎シーンでそれぞれ助手席にVHSのテープが入ったカバン、拳銃、何もないの3パターンが唐突に切り替わります。まず不可思議な点として、助手席に置かれたもの以外何も変化しないんですね。車の内装であったり、背景の建物や時間を示す空の光だったりが全く同じなんです。3人が同じ車で似たような時刻に同じ方向へ走るだろうか?ただ方向に関しては他の車が全く走ってない事や太陽が見えないことでどっち側に走ってるかはわかりません。またドライブシーンでは長々と英語のラジオが聞けますが、僕のヒアリング力ではわからなかったのでもしかしたら意味があったのかもしれません。

ダイナーがどこなのかよくわからない

Aがダイナーで依頼を受けてから州境の田舎の方に向かっているということは、ダイナーは都会方面であると思います。ゲーム冒頭でBが依頼人の男を殺しにダイナーに来た時には、ハイキングしてきたこと、カメラが机にあることから田舎の森の中に既に行ったあとであることがわかります。そう考えるとBはAやCと逆走しているのではないかという推測にたどり着きます。はたしてそんなことがあるのでしょうか?

またゲーム冒頭のダイナーの外にはカラスについばまれている死体がありますが、全編通してこの死体が確認できるのはこのシーンだけです。いったいどういう時系列なんだ。

ガソリンスタンドでの謎

ゲーム中ガソリンスタンドでのシーンは2回あります。1回目は州境に向かうという発言からAだと考えられます。何故か車がありません。問題は2回目で会話の流れから誰なのかはっきり判別できないです(上述ではBとしました)。Bだとするとダイナーに向かっている途中なのか、Cを追って森に向かっている途中のなのかもよくわかりません。また2回目は車の方をみるとCを殺した黒い人型生物が見えます。これはおじさんにも見えているようです。B自体は人型生物に気づいていないようでおじさんに対しては?と返しています。

一回目と二回目の違い

Bが通報した場所

Bが通報した際、救急隊員との会話で現場がハイウェイ6-9であることがわかるが、ガソリンスタンドのおじさんにこのあたりでどこか食べれるところはないかという質問した際に返ってくるのも69番地である。何か意味があるのだろうか。

アパートのトイレの鏡裏に隠されたテープ

紙にはAlmost outの文字が。謎は深まるばかり。

タイトルParatopicとは?

これも英語力が足を引っ張りますね。para+topicでしょうか。しかしparaは並行して交わらないものであり、3人の物語が交差するこのゲームには適していないような気がします。またドツボにはまります。

総括

いかがでしたでしょうか。見返してみるとなんだかさっぱりですね!如何せんマイナーゲームなのでストーリー考察の方もあまりいないようです。考えても解答があるのかないのか、このモヤモヤを解決する名探偵を切に求む!

コメント

  1. 匿名 より:

    そう言うことだったのか!
    paratopicの謎がわかりました

    • おもたろう おもたろう より:

      まだまだ謎だらけの取り留めないのない走り書きでしたが、内容理解の一助になったならば嬉しいです!

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