和風ポケモンスナップ 零 ~濡鴉ノ巫女~:レビュー

Switch

冬の訪れを感じさせる今日この頃ですが、そんな季節感を無視したムフフなカメラ小僧待望のリメイクをプレイしました!


それが零 ~濡鴉ノ巫女~だ!

オタクの願望詰込み美少女の服ピッタリホラー

零 ~濡鴉ノ巫女~ってなんだ?

死の山として畏れられる「日上山(ひかみやま)」――ここにとらわれ、消えてしまった人々や物を探し出すため、様々な場所を探索することになった主人公たち。懐中電灯の僅かな光と、ありえないものを写すカメラ「射影機(しゃえいき)」を頼りに、次々と襲い掛かってくる幽霊たちを撃退しましょう。

(公式より)

本作はコーエーテクモから2014年に発売されたWiiUソフトのリメイクになります。零はナンバリングはありませんが、シリーズが続いていた人気タイトルで、今作は5作目にあたります。私は1~4までは遥か昔にプレイ済みでしたが、本作は未プレイでしたので、リメイクによる違いなどは判りませんでした。対応ハードはNintendo Switch™/PlayStation®5/PlayStation®4 Xbox Series X|S/Xbox One/ Steam®とまぁほぼ全てですね。ちなみに私はswitch版をプレイしました。零シリーズのストーリーは大体、過去に儀式が失敗し巫女が怨霊化した土地に訳ありな美少女がカメラ片手に凸するというものです。これはもう様式美なので、本作もしっかり踏襲されています。そして主人公たちは霊が襲って来るとわかっていても必ず夜を見計らい突撃するエンターテイナーな一面を持ちます。

※以下本記事にはネタバレを含みます

良かったところ

ちゃんと怖い

子供の頃は学校の怪談にすら薄目常習の私でしたが、数多のホラー映画に触れることで、いつしか悪魔のいけにえでキャッキャッするようになっていました。そんな私ほどの闇の心の持ち主でも、零はちゃんと怖いです。映画は受動的でどうしてもキャラクターが置かれている状況を客観視してしまいますが、ゲームは能動的でキャラクターと自分の距離が非常に近いです。つまり迫りくる恐怖もより自分に近くなるわけです。生身の体でお化け屋敷に入る感覚と同じです。普段は環境音もないほどの無音なのに、霊が現れるとここぞとばかりに鈴のシャンシャンや電子的なノイズを始め耳障りな音のパレード。視覚だけでなく聴覚にも訴えかけるやり口です。恐怖の質もここではい幽霊不意打ちどーん!だけじゃなく、え?さっきまでこの人形もっと遠くにいなかった?とかじわっと湿ったアングルから攻めるジャパニーズの嫌らしさが光ります。襲ってこないのにずっと森の中で五寸釘の音だけが響いていたときははやくパイロットのリュウ出てこい!と思いました。

本作の特徴的なシステムとして看取りというものがあります。霊が人間だった頃の最期のシーンを見届けるというものです。みんなまともな死に方はしていないので、スナッフフィルムみたいなものですが、これがいい感じにモノクロで画像を荒くしてあり、ディテールを想像する恐怖を助長するんですね。映画でもたまに見る手法ですが、個人的に雰囲気が出てかなり好きでした。

ちゃんと零したストーリー

零は死と生、残すものと残されるもの、そして時代を隔てて同じ魂が存在する、所謂転生を是とする世界観です。本作では看取りと幽婚をテーマにホラーゲームの表層の元、ヒューマンドラマと切ないラブロマンスが展開されます。主人公は夕莉、逢世(ラスボス)、蓮(麻生博士)です。メイン主人公は逢世といっても過言ではありません。逢世の霊としての名は待ち続けた女。その名の通り、あの世とこの世、世の時の流れを隔ててもなお、看取りという同じ孤独を持つ夕莉と愛した男である麻生に逢うことを待つ女の物語です。彼女の自己犠牲の物語とも言えるでしょう。特にコーヒー一杯分の暖かさでこの世に踏みとどまっていた夕莉が逢世と孤独を分かち合い、ラストに見せる感情の発露、ぎこちない笑顔は零シリーズでも白眉のシーンだと思いました。そこで鳴る、零シリーズお抱えの天野月子の主題歌!これだけでもプレイする価値があります。

天野月子の曲が気に入った方は是非過去の零シリーズをプレイしましょう!

(メインヒロイン

束の間のユーモア

シリアスに全振りと思いきや、無駄に怨霊のおっぱいが大きかったり、都市伝説から八尺様や犬鳴トンネルの電話BOXをオマージュしてきたり、プレイキャラのコスチュームが制作陣の趣味全開だったり、遊び心が端々でこんにちわしています。緊張と緩和、嫌いじゃないぜ!

八尺様VSゴスロリ

総じてこれまでの零シリーズが好きな人は安心のクオリティになっています。

気になったところ

ゴーストハンド

これは一番残念なポイントでしたね。アイテムの取得や何かを調べる際にゆっくり手を伸ばしていくんですが、確率でゴーストハンドという幽霊の手が横からさせへんで!と掴んでくるシステムです。手を伸ばしている際に押しっぱなしにしているボタンを離すと避けることができますが、遅いと掴まれてちょっとダメージを食らいます。恐らく4作目から導入されたシステムかと思うのですが、今作でも続投でした。

アイテム取得というちょっとした動作の中にも緊張感を持ちなさいというゲームシステムなのでしょうが、これがまーテンポが悪いんですね。ゴーストハンドを回避出来ても一度手を引っ込めてるわけですからまたアイテムを取るために手を伸ばさないといけないわけです。このアイテム拾う動作だけで5~10秒とかかかってるんです。1ミッションに1度や2度の重要なアイテムなら百歩譲ってなるほどそういう演出ね!ともなるんですが、全アイテムなんですよ。バイオでハーブとか弾だけじゃなくメモ拾うのさえやっていたらきりがないですよね。これのせいで途中から万葉丸(ハーブ)やフィルム(弾)は無視することが多かったです。幸いノーマルならアイテムが使いきれないほどミッション開始時に支給されますのでクリアランクを無視するならば拾わなくても大丈夫です。

ZR押し続けるのも疲れてきます

ミッションを跨いで同じマップ

今作はミッション形式になっており、1ミッションごとに操作キャラが変わったり、スコアや敵、アイテムの配置が変わります。

日上山という1つの舞台を3人のキャラクターで徘徊することになるので、プレイヤーとしては必然的に同じマップを繰り返し行き来することになります。

敵の配置や不意に登場するポケモンで飽きさせないようになってはいるのですが、どうしても後半のミッションではマンネリ化は否めません。終盤は何度目の単独登山かわからないほどで、そろそろそんな薄着じゃなくそれなりの装備でも用意しては如何となります。

アイテムはミッションごとに所持リセットかつ再配置なので、一度歩いたマップもミッションごとにまたぐるぐる回らないといけないというのが作業感に拍車をかけましたね。影見というシステムで本筋は見えるので脇道は無視してもいいのですが、脇道にストーリーを補填するためのメモがあったり、ミッションリザルトにアイテムの取得によるポイントがあったりとゲーマーとしては悶々させられました。

(そんな場所をぐるぐるします

1ミッションの長さ

ちゃんと隅々までマップを調べてアイテムを回収してとしていたら、いつのまにかクリアタイムが1時間半とかになっています。もちろんミッションごとに差はあったり、プレイスタイルに個人差は出ると思うのですが。ちょっとした映画なら見れちゃうのはいかがなものかと。さー寝る前に1ミッションくらいやるかなーが明日の寝不足を考えたら遠のいていきます。確かに今のハードはスリープなりなんなり中断する手段はいくらでもあります。でも1ミッションを始めたら最後まで区切りよくやりたいのが人間の心情というものではないでしょうか。恐らくミッションを細かく設定するごとに制作が大変になる事は目に見えています。それでももう少し、特に最終ミッションですけど、手加減して欲しかったです。

(気持ち男(蓮)キャラのときはミッションが短く、制作陣も美少女が好きなんだなと思いました

挙動がもっさり

これは意図的なものだと思います。ゴーストハンドのシステムにも通ずるところです。ホラーゲームの哲学というか、初代バイオでも迫りくる恐怖を体感して欲しくてあえて快適さを制限し動かしづらくしたみたいのを見たことがあります。そういう制作陣の美学みたいなものがあるのでしょう。しかし私としては方向転換がぎこちなく壁をこすりながら小走りしているキャラを見てストレスを感じなかったといえば噓になります。

扉や襖を開けるたびに果たしてその向こうには⁈みたいな間があったり(内部的にロードしているかもしれないですね)、アイテムを使うのにいちいちメニュー画面から選択しなくてはいけなかったり、霊を倒してから看取る(モンハンの剥ぎ取りみたいなものです)までタイムラグがあったり、アイテムを拾ったり敵の攻撃を避けるたびにカメラ位置が強制的にリセットされたり、多対一になったときに敵に起き攻めされて回避策ないとか、もうねいろいろねあります。そうしたものもやはり美学の前には詮無きことです。

(なんか言ったか?

致命的なバグ

これは公式でも下記のようにアナウンスされていますが、switch版のバグのようですね。

「ゲームプレー中に何らかの原因でアプリケーションエラーが発生した後、再起動して「中断データ」が作成され、それまで進めていたセーブデータが消えてしまい、少し前の章のセーブデータに巻き戻ってしまう、という不具合が確認されています。」

幸いなことに私はゲームクリア後にこのバグに遭遇したため傷はまだ浅かったのですが、割と致命的なバグです。私は一日分のプレイデータが飛びました。このゲーム基本はオートセーブなので普通なエラーで落ちてもちょっと前のチェックポイントに戻るくらいなんですが、このバグの悪質なところは何故か章を遡ってから勝手に上書きしているんですよね。心霊現象というか新手のスタンド攻撃を受けたかと思いました。近日中にパッチが当てられるようですが、それでも私の日曜日は返ってきません。

(なんか言ったか?

深羽と深紅編の蛇足感

第一作から奮闘してきた深紅ちゃんの最終章というか続投なんですが、正直蛇足だと思いました。この母娘が看取りと幽婚を軸とした本作のストーリーに関わる必然性が全く見いだせないんですね。しかも深紅ちゃんはブラコンを拗らせ過ぎた結果、近親相姦の末、娘を置いてお兄様とあの世にランデブーという大胆なムーヴを披露しており、過去作の刺青の聲で残されて、それでも痛みと生きていくというラストにちゃぶ台リバースですよ。もっと言えば深紅ちゃんだけじゃなくて、白菊(白髪幼女)の必要性もわからないんです。麻生博士からすれば俺のモテモテ珍道記かもしれませんが、こっちは謎の三角関係にかなりバミューダしました。これは制作陣がマクロスF見たとかそういう理由に決まっています。そんなんだから蓮だけED分岐4個も作る事になるんですよ!

(私たち今回じゃなかった気がする

総括

よく言えばいつもの零、悪く言ってもいつもの零。ホラーゲーのA定食を食べたいあなたにお勧めです!

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