DUNGEON ENCOUNTERSってなんだ?
「ダンジョンエンカウンターズ」は、シンプルなゲームデザインを突き詰めたダンジョン探索RPGです。プリミティブな設計思想に基づいて、ビジュアル表現や演出は抑えられており、ゲームシステムそのものの面白さを体験いただけます。
(公式HPより)
スクエニの新作RPGです。PS4、Switch、Steamで展開されています。僕はSwitch版でプレイしました。ゲームはシステムが面白ければ、派手な画も凝ったストーリーもいらないという尖ったデザインのゲームになります。当然、賛否両論ありつつも、通は賛といった風潮のゲームでした。雰囲気はFFよりも、ウィザードリィやメガテンの方が近いように感じました。クリアまでプレイしての感想はどちらかといえば否よりのゲームだと感じましたので、良かったところ、気になったところを書いていきたいと思います。プレイ時間はクリアまで大体20時間くらい、クリア後のやり込みやなんかで30時間くらいでしょうか。難易度はプレイスタイルによると思いますが、簡単ではないですが、難しくもないといったところです。
良かったところ
潔い
ほんとにちょっと最初だけヘルプが出て、あとは自分で考えて99階まで潜ってね。これが大袈裟でもなくダンジョンエンカウンターズのすべてだ!ストーリーもなければ仲間のイベントもないぜ!あるのは道、ショップ、回復地点、敵、ちょっとしたお宝さがし ザッツイット!潔さが大したもんです。(必要であるかどうかは置いておいて)今時スマホゲーの方がまだ凝ってます。では面白くないのかと言われれば全然そんなことはなくて、難題を克服し、達成感を得るというゲーム体験の原初的な面白さを追求するという開発の方のコンセプトは今の時代でも間違っていないと思います。
攻略の自由度が高い
RPGの攻略スタイルって性格が出ますよね。僕はヘルプやガイドを無視して、脇道やいきなりレベルの高いところにいって分不相応なアイテムを探したりするのが好きなんですが、このゲームはそのやり方もまるっきり肯定されています。ゲームの目的はダンジョンを潜れ、やり方は問わないなんです。階段が無くても、アビリティを使えば仮想階段で下に進むことが出来るし、中盤以降は30階くらいからいきなり99階までエレベーターで潜ることが出来ます(ゲームのクリア条件は90階のボスを倒すことです)。つまりやろうと思えば好きな階の好きなところにいけるんです。敵にエンカウントしたら即死の恐怖を潜り抜け、お宝、アビリティ、強い仲間を探索するやり方も常套手段なわけです。
個人的このゲームの快感ポイントは不便を解消した瞬間にあります。敵の厄介な状態異常を無効化するアビリティを入手したとき、見えないマスを可視化するアビリティを入手したとき、雑魚的をまとめて粉砕する武器を手に入れたとき、こういったものは概して、今の苦しんでいる階層より先で手に入るのです。なら先に取りに行けばいいじゃんと、方法を考えれば苦難を正面から全力で受け止めに行かなくて済むのです。ゲーム開始時点からプレイヤーはイベントブックなるものが渡され、初めから(入手場所はわかりませんが)全アビリティの内容が確認できるようになっているので、イベントの並びなどから入手階層を予測し探索することができます。バナナの取り方は一つじゃないというところに個々人のゲームスタイルを許容する懐の深さを感じました。
挿絵が綺麗
このゲームは10階層ごとにエリアの雰囲気が一新されるのですが、一瞬ですが表示される挿絵が綺麗なんです。マジックの基本土地のような精緻さと美しさがみれますね。クレジットを確認したかったのですが、クリア後にもう一回見る方法がわからず、しょんぼりです。
犬が可愛い
プレイキャラクターに剣をくわえた犬がおります。惜しむらくはコーギーかチャウチャウがよかったですが、贅沢は言うまいて。
気になったところ
マップを踏破する苦痛
このゲームで何かが発生するマスは必ず英数字が書かれています。下の画像、マスに何も数字が書いてないですよね。つまりこれらのマス、歩くことに本来意味がないんです。それでもアビリティを装備する上限ポイントを得るためには、マップを踏破しなければいけないのです。アビリティは不便を解決するためにマストなものですから、アビリティの上限ポイントが快適さな鍵なわけです。しかしそのためには、ワンワンにフルーツ餅を拾わすだけのミニゲームをしなければいけない。移動速度は4段階で変更できますが、早くすればするほど、小回りが利かなくなり、細かく枝分かれしたマップなんかは相当なドラテクを要求されます。僕は早々に完全踏破はリタイアしましたが、着実に1階1階クリアしたい完璧主義者の方は相当な試練になると思います。正直ゲームプレイの妨げにしかなりませんでしたね。
初見殺し要素
このゲームには恐らく意図的にあらゆる初見殺しを用意しています。冒険の過酷さの表現とそうした難題をクリアした後のカタルシスのためにですね。
- 仲間が敵の攻撃で石化した⇒そいつは重いから置いていけ、石化解除マスまで行って戻ってこい
- 仲間が敵の攻撃でモルモット化した⇒そのキャラもう使い物にならないよ(97階までいけば治療できます)
- ほう、トレジャーリセット? メタルスライム的やつかな⇒はい倒せませんでしたねー あ、おめー借金な
- なんだこのマス?ブラックホール?⇒パーティーが全滅しました
- やば!落とし穴⇒運悪く仲間は全99階のどこかのマスに行方不明になりました
覚えてるだけでもこれくらいはあるので、プレイする人ごとに悲劇があるでしょうね。上述したようにこのゲーム何にも説明しませんから、回避することも難しいんですよね。しかも勉強代が高いから困ったものです。大抵はリカバーはできるけどそのために非常に面倒くさいことが多いんです。例えばパーティーが全滅した場合、全滅したキャラはそのマスで死んだままなので、別キャラで助けに行かなくてはいけないんですが、ほとんどの人は禄に育てていないキャラで敵を回避しながらその場所まで潜らないといけない。やっとたどり着いても救出できるキャラはパーティーメンバーをオーバーできないので、必ず一人は置いていかなければいけない。つまりもう一往復です。もうこの説明を書いているだけで億劫ですよね。
不満ばかりでこれだからゆとりは!初期のウィザードリィなんてキャラロストは当たり前だったぞという懐古主義の方のお叱りが聞こえてきそうですが、そういうシステムって不評だから消えていったと思うんです。ダークソウルなんかは難しいとは感じますが、理不尽とは思わないんです。死に納得感もあるし、リプレイ性が良好だから。このゲームの初見殺しは面倒くささがすごいんです(語彙ロスト)。そうゆうのはノーセンキューと言いたい。
キャラによる違いがない
キャラに代替性を持たせるためなのだと思いますが、キャラの差別化がほぼありません。一部のキャラだけ強武器が装備できたり明らかに初期ステータスが高かったり優遇されているものもいますが、基本は装備でステータスが決まるため、RTAや縛りをしない限り誰を使っても同じです。レベルでは装備可能ポイントとHPしか上がりません。好きなキャラで冒険できるといえば聞こえはいいですが、システムに全振りしている都合上、キャラごとのストーリーもないので選ぶ理由はイラストだけです。そこに思い入れは発生しますか?いざとなったら切り捨てなければいけないイラストの描かれた駒でしかないです。一部の仲間はその階層では強い武器を持っているので、身ぐるみだけ剝がされて、本体は別に回収しなくていいかということが起きます(個人的な見解)。
戦闘BGMがダサい
戦闘BGM以外は0階、拠点フロアの曲だけです。マップ上では環境音だけですね。問題の戦闘BGMですがクラシックをギターの多重録音によりアレンジしたものとのことです。ここは本当に好みだと思いますが、僕はダサいと思いました。音楽知識は全くありませんし専門的なことは何も言えませんが、ダサいと思いました。もっとちゃんとビッグザナルカンドブリッヂしてよ。
数値問題
数値問題はクイズを解いて、答えの座標のマスを調べるとお宝が手に入るというイベントです。さて皆さんは下の問題、解けますか? 答えは巡回数でググってください。学がないやつは黙ってろいと言わんばかりにゲーム外の知識を要求されるわけです。このお宝自体は無くても全然クリアできるのですが、非常に強力な武器や防具が隠されており、なんだかなという印象です。今の時代ですからググれば答えなんてすぐ出るわけです。でも知らなければ途方もない時間がかかる。これはthinkなのか?と思いました。
中盤以降からThinkしない
このゲームのステータスはシンプルにするためHP、SPD、物理防御、魔法防御、武器の攻撃力(物理、魔法)のみです。シンプルにすること自体はとっつきやすく、思考により戦闘をコントロールしやすいといった点で素晴らしいのですが、弊害として戦闘自体が単調になっていると感じました。シンプルであるがゆえに戦闘の最適解が現状最大火力の全体攻撃を全員で連打するということに終始しているように思いました。実際それで問題なくクリアできました。
少しプレイすると必ず1の桁が9の階に拠点があることも察しがつき、10の桁が変わったら取り敢えずそこまで潜り、回復場所を利用しながら、全体攻撃の武器を落とす敵を狩る、あとは間の階を適当に散策し、防具を購入、次の10層に降りる、これを繰り返すことになります。HP満タン時攻撃力2倍というアビリティがそれに拍車をかけ、脳死先手必勝で全体攻撃を連打し、無傷で勝利するという戦法が常態化します。
この勢いで戦闘システムにもケチをつけていきます。このゲームは一部の例外を除いて敵味方お互い物理、魔法防御を削りきってから初めてHPにダメージが通るというシステムなのですが、目新しさはあるものの面白さには直結していないように思いました。防御を削りきらないと1ダメージも通らないため(マジック風に言うとトランプルなし)、どんなに強い攻撃でも2回以上殴らなければいけなく、格下の敵からドロップを狙うときにテンポが悪いです。またどんなに強力な一撃も余剰分は意味がないとなるとただでさえ強い全体攻撃の優位性が上がるわけです。こちらが攻撃を受ける場合も、中盤以降はその階層の最強の防具を大体1~2発(ランダムダメージですが)で割れるように敵の攻撃力がデザインされており、敵の攻撃回数をいかに減らすかを要求されるため、やはり火力原理主義を後押しすることになります。そもそも殴る事しかできないのですから戦闘にThinkする要素はどんどん消えていくのです。
戦闘はFFで有名なATB(アクティブターンバトル)で進むわけですが、なんとも劣化プレスターンバトルとしか思えません。ゲージがみょーんて伸びていくのを眺めているのと、次にどのキャラが行動すると見えているので何が違うのでしょうか。今の時代でもなお採用するということに何かしらの意義があるのでしょうが、僕にはよくわかりませんでした。総じておかしな話ですが、ゲームのシステムを理解するほど、ゲームが単調になり作業感が増していくように感じました。
総括
コンセプトは素晴らしいが要のシステムがそんなにハマりませんでした。地道でシンプルなゲームが好きな方にオススメです!
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