僕らはみんな勇者じゃない Outward:レビュー

PS4

最近のゲームは軟派すぎる!敷かれたレールをなぞるだけの自己満足には食傷気味だ!そんな前時代的ともいえる思想を持つ硬派なRPG好きの諸兄にお勧めしたい作品を紹介します。

それがオープンワールドRPG、Outwardだ!

Outwardってなんだ?

「Outward」はサバイバルプレイと剣と魔法のアクションを基本とした没入型RPGです。リアルさやスリル、シビアなプレイなどを求めるなら、最適な冒険と言えるでしょう。あなたは選ばれし勇者ではなく特別な力も持たないただの冒険者として、驚異となる生物から身を隠したり防御したりしながら、危険な環境に立ち向かい、目的を達成する必要があります。

(公式HPより)

もうRPGの定番になりつつあるオープンワールドですが、Outwardの最大の特徴は自分の分身である主人公が特別な力も持たないただの冒険者であるということでしょう。そのポテンシャルたるや装備を整えなければ野犬はおろかニワトリにも狩られる弱肉っぷりです。そしてあなたは世界を救う命運を託されるわけでもなく、己の借金返済の為、旅立つのです。レベルなんていう甘ったれたシステムなんてありません。戦いを生き抜くたった一つの冴えたやり方は装備を整えることです。流石のイーノックも一番いいやつを頼むことになるでしょう。

Outwardの魅力は能動的体験

Outwardの不満点を挙げればはっきり言ってキリがありません。ゲームデザインとして意図されたもの、意図されていないもの、あらゆるストレスがあなたを襲うでしょう。それでもこのゲームのデザイナーは乗り越えられる試練しか与えていません。なかなか稼げないお金を何に使うか、荷物は何を持っていくか、どのダンジョンへ進むか、今敵と戦うべきか逃げるべきか、旅を続けるかいったん拠点に戻るか、ラストエリクサー症候群を断ち切れるか、有限の物資で何を合成すべきか、振り直しのできないスキルポイントでどんなビルドにするか、NPCを生かすか殺すか、あらゆる選択があなたを待っています。選択によっては無慈悲な結果が容赦なくあなたを襲うでしょう。だからこそ真剣に冒険に向き合うことが出来るのです。そうして自分の力で困難を打破したとき、人生を生きる上でちっぽけでも精神的充足を得ることが出来るのです。ゲームはただデザイナーの意図した通りに指を動かし、見ているだけの受動的なものではないはずです。Outwardでの冒険はそうした能動的体験としてのゲームの面白さを思い出させてくれます。

時には具体的な話を

いきなり抽象的な話から入ってしまったので未プレイの方は何だかさっぱりなんだぜだと思います。もう書きたいことは書いたので正直蛇足ではありますが、具体的なゲーム内容も書いていきたいと思います。

ストーリー

世界観は王道系のファンタジーです。モンスターも奇をてらったようなものはあまりいませんね。序盤は借金返済の為、中盤以降は3つの勢力の中から一つを選び、物語を紡いでいきます。勢力によってかなりストーリー、クエスト、手に入るアイテムも異なるので、周回する楽しみがあります。大筋のストーリーはありますが、冒険自体はいつでもどこでも好きなところに行けます。広大なマップからダンジョンを探すのも、街を探すのもあなたの自由です。ただクエストは時限性のものも多く、時間の概念も意識しつつ冒険をすることを強いられます。

ビルド要素

先述しましたが、レベルはないので装備品がキャラの強さになります。お金があると振り直しのきかないスキルポイントを使ってスキルを憶えることもできます。装備品とスキルによって好みのビルドにしていくわけですが、Outwardのビルドは単純な戦闘力以外にもダッシュ速度や暑さや寒さ耐性などの冒険の快適性なんかも重要で、頭を悩ませることになります。

戦闘

もっさりしたダークソウルというのがイメージしやすいです。ダークソウルはアクション寄りの部分がありますが、Outwardは技術的な介入の余地はあまりないように思います。それよりも戦い前の準備がものを言います。遠距離武器での位置取りやトラップの配置等、勝つものは勝つべくして勝つのです。魔法もちょっと特殊で魔法陣を展開したり、アイテムを併用しないとダメだったり、コストや手間がかかるけど適切に使えば強いみたいなバランスになっています。

冒険することを落とし込んだシステム

主人公はただの冒険者なので、お腹も減るし、喉も乾くし、暑いのも寒いのもダメだし、風邪もひくし、リュックが重いと足が遅くなるし、テントで休まないとスタミナも最大体力も回復しないし、テントも野宿だと野党に襲われる可能性あるし、これでもかと冒険の過酷さを痛感させてくれます。

マルチプレイ可能

ソロプレイも面白いですが、マルチもお勧めです。一人でできることが限られているゲーム性なので、一人一人の役割が明確になりやすく協力して冒険している感があります。ダークソウルなんかと同じように敵のターゲットが分散したり、挟撃できたりもするので大分難易度も下がるので、よりライトに遊びやすくなるでしょう。なんと今時珍しくオフライン分割プレイにも対応しています。

要望点

ロード時間

これは僕のPS4のせいかもしれませんが、Outward最大の欠点はロード時間がやたら長いことです。トイレいって帰ってこれます。飲み物汲んで帰ってこれます。PS4プロやPC版なら改善されているかもしれませんね。

硬派すぎて説明しない

技は見て盗むもんだと言わんばかりの職人気質で基本は失敗した経験から覚えるに尽きます。パラメータの説明やアイテムの使い道なんかも最初はわけわかめです。メインクエスト以外ログも残らず、サブクエストを受けたのはいいが何をすればいいのかわからなくなってしまうこともしばしばです。

画が地味

グラフィックが美麗なわけでも、モンスターや主人公の動きが派手なわけでもなく、淡々と命のやり取りを行う事になります。いろんな点で今風ではないです。

総括

Outwardのゲームシステムに不満を漏らすとき、同時に自分はこのゲームにはまっているなと自覚することになります。たまには自分の足で冒険してみたいあなたにおすすめです。

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